今日も天気がいいですね。暖かい日は「洗い」の作業を行うのにぴったりです。本日はいよいよ「洗い」についてお伝えしようと思います。
解いて、金具を抜いた仏壇の汚れを落とすのに当店では昔ながらの手法で洗いを行っています。言葉の通り、水でジャブジャブ洗うのです。
最近はクリーナーやスプレーを吹きつけ、泡洗浄などを行う手法もあります。(お洗濯というより洗浄という言葉が当てはまるかと思います。)
しかし、当店ではできる限り、生かせるものは生かし、お客様の予算に合わせて「お洗濯」できるように極力手作業、昔ながらの手法で行っております。ひとつひとつの手順を手作業で丁寧に行うことで、その仏壇にとってのベストの修復方法を考えながら作業を行っているのです。
洗いの風景です。
作業しているタライにはお湯と「苛性ソーダ」が入っています。昔は「灰汁」を使っていたそうですが現在では苛性ソーダを使って汚れを落としていきます。
もう一方のタライには水道のホースから掛け流しの状態で水を張っています。
まずは苛性ソーダの入ったお湯でジャブジャブ、雨戸や脇板など大きな部品はひしゃくを使ってお湯を掛けていきます。決してブラシでゴシゴシこすったりはいたしません。。こすると金箔がはがれ、キズがついてしまうからです。お風呂でかかり湯をするようなものですね。
その後、もう一方の水の張ってあるたらいに移し、苛性ソーダ、汚れを落として、板の上や軒先で乾燥させます。衣類のお洗濯と同じで「干して」います。
水がきれいに取れて、乾かないと木がそったり、割れたりしてしまいます。また、金箔の部分も木が水を吸うと浮いてきてしまい、せっかく生かせる金箔部分もダメになっていますのでこまめなチェックが必要になってきます。
この後の作業のためここでも割れた部分はないか、木地に痛みがないかのチェックを行い、この後の作業へとつながっていくのです。
ご近所さんのご好意で軒先をお借りし、お店の前は物干し状態です。
お仏壇は常に汚れと隣り合わせです。ろうそくのススやお線香の煙、長い間に蓄積されたホコリとご家庭ではお手入れが難しく汚れをため込んでいってしまいます。その汚れをきれいに落とし、次の世代へ50年、100年とつなげていけるようにと「洗い」の作業はとても大切なのです。
この後、作業はまだまだ続いていきます。ここでようやくスタート地点にたったといえるのではないでしょうか。
仏壇の状態に合わせて…
・漆部分を研磨して光沢をだす。もしくは痛みがひどい場合は漆を塗りなおす。
・金箔部分を生かせるところは生かし、修理が必要なところは金箔を押し直す
・猫戸や引き出しの蒔絵を磨きなおす、もしくは書き直す
・金箔を押し終わり、メッキし直した金具を打って、組み立てを行う
などなどまだまだ作業は続きます。
次回以降はこの作業の工程を少しずつブツブツお伝えしていければと思います。本日もお付き合いありがとうございました。